2004年05月
2004年05月11日 00:35
イギリスでフリースタイルの最大のイベントというと、毎年春(昨年までは4月、今年から数年は2月)に開催される、ラグビードッグスクール主催のコベントリー競技会だそうだ。
このラグビードッグクラブは、マリー・レイさんも所属するクラブで、アジリティの世界で有名なピーター・ルイス氏を長とする老舗のクラブである。
このコベントリーの競技会の様子はビデオテープに撮られ、参加者に記念として送られてきた。
そのテープは、ここ数年はイギリス及びヨーロッパ向けの物だけでなく、アメリカ・日本向け、としてNTSCフォーマットも限定数だけ製作され、それを、私達、イギリス国外のフリースタイル愛好者達が購入し、イギリスの素晴らしいフリースタイルの世界を見ることができる様になった。
昨年から、イギリスではフリースタイル(ヒールワークトゥミュージック)はKC公認のドッグスポーツとなり、KCルールのもとで行われる競技会は、いろいろな意味で参加者を惹き付けるのだが、このコベントリーの競技会は、もちろんKC公認の競技会であり、しかも、多くの競技者が、「特別」としている競技会らしい。
このビデオで見るイギリスのフリースタイルは大変にレベルが高く、この競技会に向けてルーティーンを考える競技者も数多くいるようで、今現在、世界をリードしている競技会とも言えると思う。
ドッグスポーツは、いろいろな人、団体が協力してここ20年程の間に急速に発展してきた。だが、フリースタイルに限らず、アジリティでもフリスビーでも、常に主体たる犬とは全く関係のない、人間の思惑、都合によって、反目や分裂が起きている。
イギリスのフリースタイルの世界も例外ではなく、数年前に、古くから活動してきたあるフリースタイルのクラブが、過激な分裂劇の末、消滅した。
その消滅の様子は、イギリスベースのフリースタイルのメーリングリスト内の議論のなかでも話題となり、私達、海外からのML参加者達は、息をこらしてその様子を見つめていた。
海外からのメーリングリスト参加者達は、その多くが北米からのフリースタイラー達なのだが、イギリスのフリースタイル競技会の成り立ちが解らないので、この老舗のフリースタイルクラブの消滅劇を、興味深いゴシップとしてではなく、イギリスのフリースタイルの将来はどうなるのだろう?などという不安さえ感じて見つめていたのである。
激論が少しおさまった頃、確か、カナダからのメーリングリスト参加者だったと思うが、ある人が、おそるおそる投稿した。
「この分裂、消滅によって、私達がビデオで見る、あの素晴らしいコベントリーの競技会は、いったいどうなるの?」
そう、私も、それを知りたかった・・・。
激論の間に、部外者から、場違いな質問は、おそらく手で振払いたい様な質問であったと想像できる。
しかし、また、そういった部外者からの素朴な質問は、激論中の人達に、少しだけ、息をつかせることもできたのかもしれない。
「コベントリーは、私達イギリスのフリースタイラーにとっては、一番大切は競技会なの。しかも、主催者のラグビークラブは、とてもしっかりしたクラブなので、また来年も、きちんと行われると思いますよ。だから、心配しないで。」
その口調には、何も知らない部外者からの素朴な質問への哀れみが感じられ、そして、発言者の悲しみが感じられた。
どうして、こんなことになってしまうのだろう、という悲しみ。そして、コベントリー競技会への、そして、このフリースタイルという活動に対する深い敬意と愛情。
部外者の私はほっとし、北米からのML参加者もおそらく同じ様にほっとしたに違いない。
2001年のコベントリーの競技会のビデオを、私は幸運なことに入手することができた。
アメリカの友人が、主催、発売元に掛け合ってくれて、私のためにコピーする許可をとってくれたのだ。
それは、あのアティラがチャップリンのルーティーンを発表し、ティナ・ハンフリーのブルーマールのワーキングシープドッグが立ってハンドラーを先導し、キャス・ハードマンがカンカンを踊り、マリー・レイが芸術的なヒールワークをキズィと見せた年だ。
リチャード・カーティスが、初めてコベントリー競技会に参加した年だ。
このビデオを見るたびに、2001年、その場にいた人達をうらやましく思う。
これらのルーティーンを実際に見た人達の興奮がうらやましい。その興奮を、直に感じた人達の感動がうらやましい。
確かに、この競技会は、人々にとても大切に思われている競技会なのだろう。
そこには、犬と人が一緒に過ごした時間と空間と、そして意志が凝縮されている。
私達も、いつか、日本でもこんな興奮をもたらしてくれるフリースタイルの祭典・・・そう、コベントリーは、競技会というに留まらず祭典なのかもしれない・・そんな祭典が開催され、参加できることを、素直に夢見ている。
kuro
このラグビードッグクラブは、マリー・レイさんも所属するクラブで、アジリティの世界で有名なピーター・ルイス氏を長とする老舗のクラブである。
このコベントリーの競技会の様子はビデオテープに撮られ、参加者に記念として送られてきた。
そのテープは、ここ数年はイギリス及びヨーロッパ向けの物だけでなく、アメリカ・日本向け、としてNTSCフォーマットも限定数だけ製作され、それを、私達、イギリス国外のフリースタイル愛好者達が購入し、イギリスの素晴らしいフリースタイルの世界を見ることができる様になった。
昨年から、イギリスではフリースタイル(ヒールワークトゥミュージック)はKC公認のドッグスポーツとなり、KCルールのもとで行われる競技会は、いろいろな意味で参加者を惹き付けるのだが、このコベントリーの競技会は、もちろんKC公認の競技会であり、しかも、多くの競技者が、「特別」としている競技会らしい。
このビデオで見るイギリスのフリースタイルは大変にレベルが高く、この競技会に向けてルーティーンを考える競技者も数多くいるようで、今現在、世界をリードしている競技会とも言えると思う。
ドッグスポーツは、いろいろな人、団体が協力してここ20年程の間に急速に発展してきた。だが、フリースタイルに限らず、アジリティでもフリスビーでも、常に主体たる犬とは全く関係のない、人間の思惑、都合によって、反目や分裂が起きている。
イギリスのフリースタイルの世界も例外ではなく、数年前に、古くから活動してきたあるフリースタイルのクラブが、過激な分裂劇の末、消滅した。
その消滅の様子は、イギリスベースのフリースタイルのメーリングリスト内の議論のなかでも話題となり、私達、海外からのML参加者達は、息をこらしてその様子を見つめていた。
海外からのメーリングリスト参加者達は、その多くが北米からのフリースタイラー達なのだが、イギリスのフリースタイル競技会の成り立ちが解らないので、この老舗のフリースタイルクラブの消滅劇を、興味深いゴシップとしてではなく、イギリスのフリースタイルの将来はどうなるのだろう?などという不安さえ感じて見つめていたのである。
激論が少しおさまった頃、確か、カナダからのメーリングリスト参加者だったと思うが、ある人が、おそるおそる投稿した。
「この分裂、消滅によって、私達がビデオで見る、あの素晴らしいコベントリーの競技会は、いったいどうなるの?」
そう、私も、それを知りたかった・・・。
激論の間に、部外者から、場違いな質問は、おそらく手で振払いたい様な質問であったと想像できる。
しかし、また、そういった部外者からの素朴な質問は、激論中の人達に、少しだけ、息をつかせることもできたのかもしれない。
「コベントリーは、私達イギリスのフリースタイラーにとっては、一番大切は競技会なの。しかも、主催者のラグビークラブは、とてもしっかりしたクラブなので、また来年も、きちんと行われると思いますよ。だから、心配しないで。」
その口調には、何も知らない部外者からの素朴な質問への哀れみが感じられ、そして、発言者の悲しみが感じられた。
どうして、こんなことになってしまうのだろう、という悲しみ。そして、コベントリー競技会への、そして、このフリースタイルという活動に対する深い敬意と愛情。
部外者の私はほっとし、北米からのML参加者もおそらく同じ様にほっとしたに違いない。
2001年のコベントリーの競技会のビデオを、私は幸運なことに入手することができた。
アメリカの友人が、主催、発売元に掛け合ってくれて、私のためにコピーする許可をとってくれたのだ。
それは、あのアティラがチャップリンのルーティーンを発表し、ティナ・ハンフリーのブルーマールのワーキングシープドッグが立ってハンドラーを先導し、キャス・ハードマンがカンカンを踊り、マリー・レイが芸術的なヒールワークをキズィと見せた年だ。
リチャード・カーティスが、初めてコベントリー競技会に参加した年だ。
このビデオを見るたびに、2001年、その場にいた人達をうらやましく思う。
これらのルーティーンを実際に見た人達の興奮がうらやましい。その興奮を、直に感じた人達の感動がうらやましい。
確かに、この競技会は、人々にとても大切に思われている競技会なのだろう。
そこには、犬と人が一緒に過ごした時間と空間と、そして意志が凝縮されている。
私達も、いつか、日本でもこんな興奮をもたらしてくれるフリースタイルの祭典・・・そう、コベントリーは、競技会というに留まらず祭典なのかもしれない・・そんな祭典が開催され、参加できることを、素直に夢見ている。
kuro