2004年10月20日 21:29

競技会

アメリカのWCFO(WorldCanine freestyle Organization)の開催するビデオ競技会に一年に一度は参加しようと思っているのですが、なかなか、コンスタントに参加できないでいます。

この競技には、ルーティーンを作り上げ、それをビデオに撮って、ニューヨークの本部に送るだけで参加できます。ビデオに撮るのだから、何度でもやり直しができる(編集は不可)ので、その点、ライブで行われる競技会に参加するよりはず~っと簡単だろう、と最初は思っていました。

しかし、参加してみると、これは、ものすごく大変な作業でした。

まず、場所。競技用のリングサイズは18メートル x 9メートルと決められているので、そのスペースを確保できないといけないわけです。平坦で、犬の脚に負担が少なく、しかも、音楽をかけられて、さらに、その音が他の騒音にじゃまされずに録音できる場所を確保するのは、とても難しい。

インドアの、この要求を満たす場所を個人で探すのは、私が暮らす首都圏ではほとんど無理です。

っというわけで、河原の様な場所でのビデオ撮り、という事になります。河原の草が茂り過ぎていず、ぬかるんでもいない、風の無い、お日様がでている休日に、ビデオを撮ってくれるカメラマンにお願いして、ビデオ撮影をします。

河原の駐車場から、ビデオカメラ、オーディオのデッキなどを抱え、衣装を半分身につけて犬を連れてゆくのですが、時にはお目当ての場所に先客がいて、サッカーの練習をしている事もあり、そんな時には、また別の場所を探して、ジプシーの様にさまよい歩くことになります。

普段は遊びに来るこういった場所でビデオを撮ろうとすると、始めのうちは、犬達は遊びモードになってしまい、今日は、真剣なのだと言い聞かせても、なかなか納得してくれません。

デモなどで、普段と違った環境での演技のほうが、その点では、犬も、環境の違いを察してくれて、お仕事モードになってくれることが多い様な気がします。

「ほら、ママは、普段と違って衣装らしきものを着ているでしょっ!」と言ったところで、彼等はそんな事かまっちゃいない。ママが遊んでくれないなら、ビデオを撮ってくれる人がきっと遊んでくれるはずと信じている、まことに正直な愛すべき犬達です。

やっと犬をその気にさせると、大勢の人目のある場所での作業でもあり、こんどは私が緊張して、うまくいかない。繰り返すうちに、なんとか犬との呼吸があい、なんとかなりそう、と思った途端、ポーズをとっている私達のすぐ前を、自転車に乗った男性が口笛を吹きながら横切ったり、ジェット機の爆音が全ての音を消し去ってしまったり。

ビデオでの参加なら、何度もやり直しができるから、最高の演技で参加できるというのは机上の空論であって、実際には、そうはいかないことを実感します。しかも、何度も撮りなおせば、人も犬も、精神的に肉体的に疲れます。そして、何度も撮り直しができるからこそ、ビデオで見る自分の演技の、些細なことも気になり、そんな時は、やってもやってもうまく行かない、というねじれたスパイラルの中に入り込んでしまったりします。

このいろいろなことを乗り越えての「やり直し」に、表面的には何もいわずにつきあってくれるビデオカメラマンに対し、なんとも、申し訳ない・・・という気持ちが、また、さらに、こちらの焦りを増すのです。

先日は、お口からどうしても声が洩れてしまい、その自分の声がうるさくて私の合図が聞こえないダダと、何度もやりなおしをしました。なんとか、悪い出来ながらビデオ撮りを終了し、帰りの支度をしていると、隣でテニスをしていた少年達が、ダダの音楽を口笛で吹いていました・・・・。

何度も同じ曲を聞かされながら、我慢してくれていたテニス少年達に、感謝。そして、何度もつきあってくれる、気の良いダダに、感謝。(但し、ダーちゃん、この次こそは、黙ってやる様に!)

フリースタイルは、犬も自分も楽しめるスポーツです。でも、犬にも自分にも、そしてまわりの人達にもストレスをかけながら、それでもやることの意味を自分に問いかけると、その原則が揺らぐ様な気もしさえするのです。

しかし、その演技を見たヒトが、なんらかの事を感じ、そのフィードバックを受けることは、ルーティーンを振り付け、練習し、完成させてゆく意欲を維持するためにの大きな力となります。

競技会は、そのひとつの形であって、そういう意味でWCFOビデオの競技会に参加しているのですが、これは精神的に孤独な作業です。もし、たくさんのフリースタイル愛好者達がひとつの場所に集まって、競技会ができたら楽しいだろうなぁ~・・・。

そんな望みを叶えてくれるべく、この秋、11月に、イギリスからアティラ・シュカレクさんを招いて、競技会と、初心者向け、中・上級者向けのワークショップも開催となりました。

詳細につきましては、トップページの競技会・セミナー情報を御参照下さい。

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