2005年02月01日 11:01

シェルター

イギリス、アメリカなどの犬のシェルターで働く人達の一番の大きな選択/決断は、問題犬と呼ばれる、特に攻撃性を示す犬に対し、安楽死の決定を行うことだそうです。。

シェルターに持ち込まれる犬達の多くは、「飼い主の手に負えない」犬達。「手に負えない」という判断を飼い主が下すまでには、それなりの過程があり、その過程の中で、その手に負えない部分が犬の中に確立されてしまったりするわけです。

それは、何も、飼い主も犬も不幸な結果を望んでいたわけではないでしょう。なんらかの理由で、意図しない方向に物事が進んでしまい、理由に立ち返る余裕すらもてない様になってしまうこともあるのでしょう。

ダダがフリースタイルの人前での演技中、ここぞとばかりに張り切って、自信を持って吠えるようになった経験から、私はそんなふうに思います。ダダのフリースタイルでのお喋りは、危険が伴うことでもなく、生死に関わる物でもありません。究極、ダダと一緒に人前で演技しなければ、それですむことです。

しかし、不幸にも、人や犬に対する攻撃性を「身につけて」しまった場合は、ダダのお喋りとは異なります。そういった行動を身につける過程は、おそらく、本質としては同じなのに。

この犬が、シェルターから新しい、この犬をどうにかできる人の元へいけるのなら・・・、そんなふうにシェルターを訪れるのだそうです。

しかし、実際には、シェルターの環境は、必ずしも、そういった身についた攻撃性を矯正するのに相応しい物ではないといいます。だって、ちょっと考えればわかることですが、シェルターには、そのような犬達がたくさんいるのですから。

そんなシェルター環境で、行動の「改善」の見られない攻撃性を持つ犬は、新しい家庭にだすのには危険、ということで、安楽死を宣言されるというのです。

Bridge and Target Manual  の筆者である Kayce Cover さんが主催するアメリカの
SATS (Syn Alia Training System)
では、こういった攻撃性を持つ犬に、「物事に対する認識を修正する」ためのトレーニングを施す方法を提唱していて、イギリスの犬のシェルター
Wood Green Animal Shelters
では、このトレーニングが大きな効果をあげています。

Wood Green Animal Shelters からSue Gearingさんという方が日本にきて、セミナーが行われることになっています。
http://www.inutao.net/


しかし、このことは、今私の周りで、とても多く見聞きする、新しい飼い主を探している犬達の事情とは、ちょっと違います。

今日久しぶりにお散歩であったワンちゃんも、新しい飼い主の方の元へ行くそうです。飼い主の離婚がその理由です。経済的理由、住宅事情、そして、離婚というストレスを抱えた、飼い主の精神状態の事情。

楽しそうにはしゃぐ犬達が、眩しかったです。      kuro

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コメント一覧

5. Posted by ilife320   2005年04月21日 04:35
はじめまして。  クリままさんのサイトから飛んで参りました。 我が家では2匹ワンコを飼っており、両方ともシェルター出身です。  特に一頭目の子は、“問題有”でシェルターに2度も入れられ、(幸い、前飼い主さんの“はからい”?でNo-killシェルターでした) 引き取る時は、ストレスで痩せ細りほぼ餓死寸前、と言っても過言ではありませんでした。  私は良い犬飼いでは決してありませんが、言葉をお借りすれば、“どうにかできる人”は世の中にたくさんいます。  人間側にも犬を手放せねばならないやむを得ない事情がありますが、安易にシェルターへ入れるのではなく、本当に犬がその犬にあった飼い主さん達の元へ行けるよう、全ての人が努力することを、願ってやみません。  
4. Posted by kuro   2005年02月10日 19:09
Sueさんのセミナー、ここに御紹介したのですが、しかし、300人と200人、合計500人集めないと赤字になる・・・。1日300/200なのですかしら?それとも、東京で延べ300、福岡で延べ200なのですかしら?ひとり8000円で、、、、
いずれにしても、ずいぶんと、お金のかかるものなんだなぁ~・・・。
3. Posted by リキママ   2005年02月02日 08:15
情報の追加をありがとうございました。
イギリスで師事したトレーナーのお一人が、レスキューされた人嫌いの馬にクリッカーでやっていた方法の内容と似ているようです。
もう少し調べて勉強してみます。
いつも最新レビューを楽しみに時折のぞかせていただいています。
2. Posted by kuro   2005年02月01日 18:06
Sueさんのセミナーについては、本文中に追記しましたので、参考になさって下さい。東京と福岡で開催されるそうです。
彼女の方法はSATSの、perception modification と、cycle trainingによる方法によります。SATSの方法の基礎は、Bridge and Targetという方法で、そのマニュアルには、基礎的な考え方から紹介されていますが、2方向のコミュニケーションを考える方法です。
SATSのサイトを覗いてみて下さいね。
1. Posted by リキママ   2005年02月01日 16:29
はじめまして。
イギリスでトレーニングと行動学を学んだ後、郷里で小さなオーナーズトレーニングスクールをしております。
最近やはり「飼い主への攻撃性」の相談が続き、それぞれに対処を一緒に考えています。昨夏はBattersea Dogs Home Windsorにてワークショップに参加しましたが、問題の深い犬には専任Behaviouristが対処していましたので自分が直接勉強はできませんでした。
記事にあるSueさんのセミナーなどの詳細がお分かりでしたらメールにてお教えいただけないでしょうか?

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