2006年05月12日 19:13

Cesar 訴訟

Cesar Millanというキーワードで検索して読みに来てくれる方が時々います。

以前にも書いたのですが、この人は、アメリカ・ロスアンゼルスに自分の施設を構える、
NATIONAL GEOGRAPHIC チャンネルの、DogWhispererという番組から躍り出たスターです。この番組は、日本でも時々テレビ番組で見られる、問題行動解決番組で、Cesar Millanが次々と依頼者の犬の難問解決してゆくわけです。

このBLOGにCesarの検索から来る方がいるという事は、日本でも、彼が注目されつつあるということなのでしょうか。

Cesarの方法は、いわゆるパックリーダー思想を元に、飼い主はドミナントたれ、犬は人より前を歩いてはいけない、犬は人より先にドアを通ってはいけない、云々。そして、犬は運動が必要、そしてディシプリン(厳格な決まり事、みたいな意味でしょうか,「しつけ」かな?)。

今回、彼が訴えられたのは、彼のセンターの従業員が、依頼者の犬をチョークチェーンをしたままでトレッドミル(ルームランナー)に繋ぎ、走らせ、結果として、犬が転び(ミルから外れた)首が締って大怪我をした、という事によるわけです。

運動させるというので、トレッドミルに繋いだのでしょうけど、チェーンカラーのまま繋いだとは・・・動かない床でもチェーンカラーをしたまま繋ぐのは危険といわれていると思います。ましてや動く床なのですから、そりゃ、危険です。(それに、ちゃんと見ていなかったのかなぁ~?)

パックリーダー思想、「犬は狼から進化した生き物。狼はパックで生活する、だから犬もパック思想の元に、飼い主がドミナントになるべき。リーダーになれ。」ということのようなのですが・・・。

この考え方は、いろいろな意味で修正されつつあります。

たとえば、猿山のサルはボスは何でもやって良い、だからサルは、そういう生態を持つ動物、という考え方は、「人工的に作られた猿山という閉じられた環境の中で観察された結論。」で、自然界でサルは、そういう社会構成を持たない、と聞きました。

犬に関しても、パックリーダー思想は、もう、ずいぶん前から否定されているそうです。

これには、私はちょっとほっとしています。「主従関係」を確立させるための体罰の正統性が否定される事を望んでいます。(主従関係、困るんです。だって、主従関係にある2者が一緒に踊って、楽しい事なんて、ないじゃない?)

Cesarの番組は、とても面白いし、彼は見るからにチャーミングなのですが、でも、彼の考え方・方法論を普遍化してしまって、普通の飼い主がこの方法を使う事は、いろいろな意味で、ちょっと怖いかもしれません。


そういえば、犬と狼の関係、という事では、アメリカの動物行動学者 Raymond Coppingerと、妻Lornaの共著による、”Dogs: A Startling New Understanding of Canine Origin, Behavior & Evolution”(2001)では、とても面白い理論が展開されています。

今年、彼は来日し、セミナーがあります。おそらく、この本の内容にそった講演になるのだと思うので、興味深い。

イギリスでの講演では、ボーダーコリーはなぜ「目をつけeye」「忍び寄りstalk」「おいかけchase」という行動を起こすのか、それがいかなる仕組みによるのか、等についての考察もありました。何かに目を付けてしまったボーダーコリーに、オヤツを見せてこっちを向かせ、それを根気よく繰り返すという方法が、なぜ働かないか、いかに働かないかも、良くわかります。
                            kuro

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